「志望動機がまったく思いつかない…」
就活や転職活動を始めたばかりの方なら、一度はそう悩んだことがあるのではないでしょうか。企業に応募したい気持ちはあるのに、「なぜこの会社なのか」「どう書けば印象が良いのか」が言語化できず、履歴書がなかなか進まない…そんな状況に陥ってしまう人は少なくありません。
この記事では、志望動機が書けない原因とその対処法をわかりやすく解説し、すぐに使えるテンプレートや例文も紹介しています。新卒・第二新卒・未経験転職など、どんな立場の方にも対応した実用的な内容です。
「書けない自分」を責めるのではなく、自分らしい言葉で志望動機を組み立てるためのヒントを、ここから一緒に見つけていきましょう。
なぜ志望動機が思いつかないのか?
志望動機がうまく思い浮かばないのは、あなただけではありません。特に初めての就職・転職活動では「何を書けばいいのか分からない」という壁に誰もがぶつかります。ここでは、よくある3つの原因とその背景を解説します。
自己分析が不十分なケース
志望動機の根底には、「自分がどんな人間か」「どんな働き方を望んでいるか」という自己理解が必要です。ところが、自己分析が不十分なまま就職活動を始めると、自分の価値観や強み、やりたいことが曖昧なため、「なぜこの企業を志望したのか」が言語化できません。
例えば、「人と関わる仕事がしたい」と感じていても、それが接客なのか営業なのか、あるいは教育的な役割なのかによって適した企業は変わります。自分が何に喜びを感じ、どんな場面で力を発揮できるのかを具体的に振り返ることが大切です。
企業研究が表面的なケース
どんなに魅力的な企業でも、**「なんとなく雰囲気が良さそう」「大手だから安心」**といった理由では、深みのある志望動機は書けません。企業が求めているのは、「自社のどの部分に共感し、どんな形で貢献してくれるか」という具体性です。
採用ページのトップだけでなく、事業内容・理念・最近のニュースリリース・社員インタビューなどにも目を通すことで、企業の本質的な魅力が見えてきます。その上で、自分の価値観や過去の経験とどうつながるのかを考えることで、志望動機に説得力が生まれます。
「なんとなく応募」で動機が曖昧なケース
応募企業の数が増えると、「とりあえず受けてみる」「求人票に惹かれたから」など、動機がぼんやりしたまま応募するケースも少なくありません。このような場合、当然ながら志望動機を書くときに困ってしまいます。
しかし、そういった「弱い動機」であっても、自分なりに何かしら惹かれたポイントがあるはずです。それが福利厚生、働き方、事業内容、企業規模などであっても構いません。最初は些細な理由でも、そこから「なぜそう思ったか?」を深掘りしていくことで、本音に近い志望動機に仕上げることが可能です。
志望動機が浮かばないときの対処法
志望動機がなかなか思いつかないときは、自分の内面や経験、応募先企業との接点をじっくり探ることがポイントです。ここでは、実践しやすく効果的な4つの対処法を紹介します。
過去の経験から「価値観」を掘り起こす
志望動機に正解はありませんが、自分の価値観に沿った動機は説得力があります。その価値観を見つけるために役立つのが「過去の経験」です。
たとえば、アルバイトでお客様に感謝された経験、部活動でチームの成果を支えた経験、ゼミで最後までやりきった経験など、自分が「楽しかった」「充実していた」と感じた場面を思い出してみましょう。そこにあなたらしい価値観(例:人に貢献する、挑戦する、自立して働くなど)が隠れています。
その価値観と企業の仕事内容や方針が一致していれば、自然と動機として言語化できるようになります。
「企業の特徴」と自分の興味をつなげて考える
企業に興味を持ったきっかけは、どんな些細なことでも構いません。それが「BtoBにしては珍しくSNS活用に力を入れている」「地域密着で展開している」など、他社と異なる特徴であればチャンスです。
その特徴と、自分の関心や経験とをつなげて考えてみましょう。たとえば「大学時代に地域活動に参加していた経験があり、地域に根ざしたビジネスに共感した」などです。
このように、企業の独自性と自分の過去・思考・興味をリンクさせることで、「なぜこの会社なのか」という志望動機に深みが出てきます。
第三者に話して言語化してみる
自分の頭の中だけで考えていると、思考が堂々巡りになりがちです。そんなときは、家族や友人、キャリアセンターの人に話すことが非常に効果的です。
「どうしてその会社に応募しようと思ったの?」と聞かれて、思わず口にした言葉が、意外と本音だったりします。話すことで頭の中が整理され、漠然とした思いが具体的な言葉になっていきます。
話す相手がいない場合は、スマホのボイスメモ機能に向かって話すだけでも効果があります。話し言葉での思考は、書き言葉よりも自然で素直な表現になりやすいため、志望動機のたたき台に最適です。
類似企業と比較して「なぜこの会社か」を考える
複数の企業を同時に見ている場合は、「この会社じゃないとダメな理由」が見えにくくなりがちです。そんなときは、あえて似た企業と比較してみることが有効です。
たとえば同じ業界・職種であっても、企業によって規模・顧客層・社風・育成方針などが異なります。その中で、あなたが「より魅力を感じたポイント」はどこでしょうか?
- 教育制度が整っている
- 若手の裁量が大きい
- 福利厚生が手厚い
- 社員の雰囲気が合いそう など
こうした比較を通じて浮かび上がった「選んだ理由」は、他社との違いを言語化するきっかけになります。結果として、より具体的で個別性のある志望動機につながります。
使えるテンプレートと書き方のコツ
志望動機が浮かばないときは、まずは型(テンプレート)を使って書いてみるのがおすすめです。書き出しに迷う時間を減らし、スムーズに言語化する助けになります。以下では、基本の構成とともに、書く際のコツをご紹介します。
ベース構成テンプレート(結論→理由→展望)
志望動機は、次の3ステップで構成するとわかりやすくなります。
- 結論(志望理由)
→ なぜこの会社・職種を志望したのかを一言で伝える。 - 理由(きっかけ・背景)
→ その志望に至った経験や価値観、企業研究などを具体的に語る。 - 展望(入社後の意欲・貢献)
→ 入社後にどのように活躍したいか、自分の強みをどう活かしたいかを述べる。
例文テンプレート:
「貴社の〇〇に共感し、自分の△△という経験を活かせると感じ、志望いたしました。大学時代には□□の活動に取り組み、◎◎にやりがいを感じてきました。貴社でもその経験を活かしながら、御社の□□に貢献していきたいと考えています。」
強みやエピソードの入れ方
ただ「やる気があります」「興味があります」と伝えるだけでは、印象に残りません。あなた自身の経験や強みを、エピソードを交えて入れることで、説得力が増します。
たとえば、「人と関わるのが得意」なら、具体的にどんな場面でそう感じたのか(アルバイトでの接客経験や学園祭でのリーダー経験など)を入れましょう。
NG例:「人と接することが好きなので営業を志望しました。」
改善例:「アルバイトで常連のお客様と信頼関係を築くことにやりがいを感じ、人と深く関われる営業職に魅力を感じています。」
具体例を入れて差別化するコツ
企業は多くの志望動機を読み比べています。その中で**「具体性」がある文章ほど目に留まります。**
具体性を持たせるポイントは以下の通り:
- 「御社の営業職」ではなく「御社の地域密着型の営業スタイル」
- 「成長できる環境」ではなく「OJT制度を通じて早くから実務を任される点」
求人票や企業HPで見つけた特徴を1つ引用し、それに関連する自分の思いや経験を絡めるだけで、一気に「あなたにしか書けない志望動機」になります。
シーン別の例文集【コピペOK】
ここでは、状況別に使える志望動機の例文を紹介します。完全コピーではなく、「あなたの経験」に合わせて一部カスタマイズすることで、より自然で説得力のある文章になります。
新卒就活生向けの例文
貴社の地域密着型の営業スタイルに魅力を感じ、志望いたしました。大学時代、地元商店街のイベント企画にボランティアとして参加し、地域の方々との信頼関係づくりにやりがいを感じた経験があります。貴社でもお客様一人ひとりに寄り添う営業を通じて、長期的な信頼関係を築いていきたいと考えています。
第二新卒・既卒向けの例文
前職では事務職として業務効率化に取り組んでまいりましたが、より対人スキルを活かした仕事がしたいと考え、営業職への転職を志望しました。貴社の充実した研修制度と、未経験者を積極的に受け入れる姿勢に惹かれ、私の新しい挑戦に最適な環境だと感じています。前職で培ったコミュニケーション力を活かし、早期に戦力となれるよう努力いたします。
職種未経験での転職希望者向け
貴社が展開するIT教育サービスに共感し、エンジニア職に挑戦したいと考えております。これまで接客業で培ってきた課題解決力や丁寧な対応力は、システム開発でも役立てられると考えています。現在は独学でプログラミングの学習を進めており、未経験からでも成長できる環境で自分を試したいと思い、志望いたしました。
職歴が浅い人向けの例文
新卒で入社した前職では、配属後すぐに退職という結果になってしまいましたが、働くことの意義や社会人としての責任について深く考えるきっかけになりました。改めて自己分析と企業研究を進めた結果、貴社の〇〇という考え方に共感し、もう一度正社員としてキャリアを築きたいと考えました。今度こそ長期的に貢献できる人材を目指します。
使用時の注意点
- 自分の経験やスキルに置き換えることでオリジナリティが出ます。
- 「なぜその企業でないといけないのか」の部分は、企業情報と絡めて書くのがポイントです。
志望動機に正解はない。あなたらしさが伝わればOK
就職・転職活動をしていると、「完璧な志望動機を書かなければいけない」と思い詰めてしまう方も少なくありません。しかし、志望動機に「これが正解」という唯一の答えはありません。
企業が見ているのは、あなたがその会社とどのように向き合おうとしているか、そして自分の言葉で想いを語れているかです。たとえ動機がシンプルでも、「なぜそう思ったのか」「その経験から何を学んだのか」を素直に表現できれば、それはあなたらしい立派な志望動機です。
無理にキレイな文章にしようとせず、あなたの考えや経験を、自分の言葉で伝えることが何より大切です。少しずつでも言葉にしていけば、必ず“あなたにしか書けない志望動機”にたどり着けます。
🌱 最後に:今日からできる一歩
- 思い浮かんだことをメモに書き出してみる
- 誰かに話してみる
- 少しでも気になった企業の理由を深掘りしてみる
就活や転職は、自分を見つめ直す絶好のチャンスです。焦らず一歩ずつ、あなたらしい志望動機を育てていきましょう。

